見つけたよ!これからのものづくりに必要なもの。〜 MAKE NETWORK Party 2017夏 参加レポート 〜

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
「きりーつ、れいっ!」
まるでドリフの学校コントのような微笑ましい雰囲気で、それは始まった。

世田谷区池尻、ものづくりのイメージとはほど遠い住宅街にそれはあった。
『MAKE NETWORK Party 2017夏』
3年前に始まったこのイベント、今回で数えて11回目になる。

「ものづくり」がスキな人たちが集まって交流する場。
単純に言ってしまえば、そういうことだ。

「ものづくり」
このひらがなで表されるコトバには、不思議な意味が込められている。
製造とか生産では言い表せない何か特殊なもの。
このイベントには、どうやらその「ものづくり」がたくさん詰まっているらしい……。

6月11日くもり空の日曜日午後、廃校を再利用した施設の大きな一室が、そのイベント会場だ。
入り口で受け付けを済ませて中に入ると、もう既にイベントは始まっていた。

このイベントは2部構成になっている。
前半は展示会形式で、ものづくりに関わる人たちの作品発表と、自由な会話の場を提供している。

オリジナル性豊かで手作り感満載の「ものづくり作品」が所狭しと並べられていて、なにやら縁日のような雰囲気である。

気になった作品があったので遠目で遠慮がちに見ていると、どこからともなく忍びのように作者が現れた。
「これなんですかぁ?」
この一言で始まるものづくり交流。
作品コンセプト、加工方法、素材、材料仕入れ、販売方法、広告宣伝、資金調達、ものづくり好き同士の会話は尽きることがない。

一見ただのガラクタ(失礼しました)のように思えるものも、みんな真剣に作っているのだ。
そして真剣だからこそ面白くて魅力がある。

工作機器のデジタル化やパーソナル化は、産業に大きな革命をもたらせた。
これまでは巨大な設備や専門の職人がいなければできなかったことが、デスクトップ上でできるようになった。


そのためアイデアさえあれば、なんでもできるとよく言われる。

たしかにアイデアを形にすることのハードルは、恐ろしいほど低くなっているのだろう。
しかし……、ここにいる真剣な人たちは何かが違うように僕には見える。
アイデアだけではない、何かを持っている気がするのだ……。


そして後半、ここからがメインイベントである。
もともと何かの教室であった場所で、学校の授業を模した形式なのだが、なぜか乾杯からスタートする。
まぁ飲みながらの授業もたまにはいいもんだ。

1時限目は、ものづくり支援サービスを提供しているパートナーズの「ものづくりトーク」
デジタル化で誰でも出来ると言っても、実際にやるとなるとものづくりは結構大変だ。
場所、材料、機器、工具、そして技術、仕入れ、販売などのノウハウ、欲しいもの、知りたいことは山のようにある。
そんなお悩みを解決してくれるのが、パートナーズだ。ものづくりをする人たちにとっては、過払い金請求の新宿事務所のように、とても心強い存在である。
MAKE NETWORKの目的であるつくる人とそれを支援する人のつながりを生み出す。


2時限目は、ものづくりをする人クリエイターズの「ものづくりトーク」
自分の作品をアピールする絶好のチャンスだ。
作品のコンセプト、作ることになったきっかけ、作ってしまったがための苦労話などなど。自分の持っているものや想いを伝えることで、共感者を引き寄せるのだ。


「共感」を軸にしたつながりは、利害によるつながりとは全く異なる何かを生み出す。これがものづくりにはとても大切であり、それを増やしていくのが、MAKE NETWORKの最大の目的である。

気が付けば会場に来てからすでに5時間が経過していた。途中に提供された食事もいただき、だいぶ満腹の状態である。

食事といえば、このイベントで出される食事は特筆ものだ。
この手のイベントでよくあるケータリングサービスとは違い、すべて手作りなのだ。
おそらく主催者が、食事もものづくりのひとつなんだと考えているのだろう。味にもボリュームにも大満足だ。


そしていよいよ3時限目、毎回大人気で盛り上がる全員参加のアイデアソン。
与えられたテーマに沿って、グループのメンバーの思いつきや妄想だけで、ものづくりのアイデアをまとめる、超ショートショートのハッカソンである。

各グループに与えられた時間は10分だけ。
時間内にみんなで出来るだけアイデアを出し、それをひとつにまとめ、A3用紙1枚に手書きプレゼン資料を作成する。
悩んでいるヒマなどまったくない、まるで振り込めサギに引っかかったかのように、ついついやらされてしまうのだ。

今回のテーマは「トランスフォームするもの」
簡単に言うと、物体が変形してその用途が異なることに使えるもの(あまり簡単になってないか?)。
普段はどこにでもあるものが、いざという時に突然形を変えて便利に使えるもの(少しわかりやすくなった)。
ということは、同時に2つの用途を考えなければならないことになり、更にハードルは高い。

発表されたアイデアはどれも個性的で、生活の便利さを追求したもの、日常の社会問題を解決するもの、単純にウケを狙ったもの、完成度の低さを小芝居で補うもの……。

よくもこの短時間でここまで出来るものだと、改めて人間の能力の高さに感心させられた。

発表する側は真剣そのもの?であるのだが、それを聴く側の姿勢がいい。

なんとかコンテストなどとは違い、暖かく見守る親心のような心境になる。

笑顔と笑い声に溢れ、惜しみない拍手が贈られる。


そして交流会の最後を締めるのは、恒例の記念撮影である。

参加者もスタッフもその顔は笑顔で満ち溢れていた。

それは愛のある笑顔だった。

「愛!」
そうだ、この会場でずっと感じていた不思議な何か、それは「愛」だったんだ。

ものづくりすることへの愛、ものづくりする人への愛、ものづくりする場所への愛。
参加者も、出展者も、登壇者も、司会者も、受付や運営スタッフも、展示されている作品も、提供された食事も。
すべてにアイデアだけではなく愛がトッピングされていたのだ。

そう! これからのものづくりに必要なものは、愛デアだったのだ。


生産性を追求してきたこれまでの製造業に変わって、これからのものづくりは、より高次元の人間性を追求する成熟したものになっていくだろう。

そしてMAKE NETWORKは、未来の愛あるものづくりを牽引していく存在になるのではないだろうか?
いや、もう既にそうなっているのかもしれない。

愛デアがたくさん詰まった未来のものづくりのために……。

(了)

*** MAKE NETWORK Party 2017秋 9月3日(日)開催 ***   

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